―これは一過性の流行ではない。
世界はいま、新たな局面に到達しつつある。
たったひとつの正解はなく
不断の思考を求められる
険しい道だ。
しかしきっと美しい。
理念はあなたの中に。
共に切り拓こう。
※本記事は、旧ブログ「なるさわばしこLABO」から修正を加え、転載したものです。所属等、一部記述が異なります。(2019年10月現在、教職に就いてはいません。)
はじめに
現在世界中で20万部を超えるベストセラーになりつつある本、「ティール組織」。
著者はフレデリック・ラルー氏です。
日本でも2018年1月に英治出版から発売後、わずか1カ月で3万部の売り上げを突破しました。
今大注目の書籍です。
「ティール組織」は、組織論の今と未来の展望を示したたいへん素晴らしい書籍なのです。
なるさわばしこが生涯読んだ中で間違いなくトップ3には入るでしょう。
それほど、世界観が変わります。読む前には、戻れなくなるほどに。
しかし、600ページ近くある大ボリュームとその難しさから、手に取ることをためらう人も少なくない様です。
ですから、「興味はあるけど敷居が高そうだな」という、特に教育関係者の方のために、この本の良さをまとめました。
読み終えるころには、「ティール組織」をAmazonでポチッっていることでしょう……。
「ティール組織」ってどんな本?
ざっくり言うと「組織論」の本です。
世界に存在するあらゆる組織形態(マフィア、軍隊、教会、公立学校、企業など)を、その要素によってパラダイムを色分けして分類しています。
(巻頭付録ページより引用)
その中で、現在ごく少数の人類が到達し始めた、
新たな組織の在り方として紹介されているのが「ティール」というパラダイムなのです。
(パラダイム・・・ものの見方、考え方を支配する認識のこと)
組織は上層の段階にあるほど、複雑な問題に対処できるようになりますが、高尚になるわけではありません。組織には、それぞれ合ったパラダイムがあります。
人は知らない世界を望むことはできません。
同様に、認識していないパラダイムに到達することはできないのです。
だから、全ての学級が「ティール」になるべきとは思いませんが、全ての教師が「ティール」を認識してほしいと思っています。
教育関係者こそ「ティール組織」を読んだ方がいい理由
①今の学校システムを俯瞰的に見ることができる
「ティール組織」の中で、公立学校はアンバーパラダイムに当てはめられています。
このシステムには、「数百年規模で安定したカリキュラムを提供できる」光と共に、「指示と統制によって下位層に位置する子どもの良さを組織に合わせて切り取ってしまう」影があるのです。
強固な慣習や前例踏襲主義、覆せない階級制度の理由を理解することができます。
システムを俯瞰的に知ることによって、見えてくるものは多いはずです。
②次世代の教育で提供すべきものが分かる
「ティール組織」では、ドイツにあるESBZというティール型学校の例が紹介されています。自閉症、学習障害、生活保護、多様な背景を抱える子どもを擁しながらも、子ども達が高い自己貢献感と自律性をもち、意欲的に学ぶ学校です。
Evangelische Schule Berlin Zentrum
子どもが学びたいときに
学びたいものを
学びたいだけ
学びたい人から
学ぶことができる。
教育の未来像を提示しています。
③生き辛さを感じている人の救いになる
もしもあなたが
若いからと見下されたりおちょくられることに激しい怒りを覚えたり
1から10まで仕事のやり方を指示されることが窮屈で仕方なかったり
論理的な説明と結果を用意しても経験年数を理由にその提案が却下されたり
常に結果を出し続けていないと認められない現状が息苦しかったり
学校という場で常に「先生として」の仮面をつけているような感覚があったり
そういった世界に苦しんでいるならば、
今の組織パラダイムが合っていない可能性があります。
違和感は進化の兆候なのです。
そして、あなたが感じた違和感は、
子どもが感じている可能性もあるということです。
もしも子どもが
子どもだからと見下されたりおちょくられることに激しい怒りを覚えたり
1から10まで勉強のやり方を指示されることが窮屈で仕方なかったり
論理的な説明と結果を用意しても子どもであることをを理由にその提案が却下されたり
常に結果を出し続けていないと認められない現状が息苦しかったり
学校という場で常に「良い子として」の仮面をつけているような感覚があったり
そういった世界に苦しんでいるならば
救える人は違和感に気づいた、あなたしかいないかもしれません。
「ティール組織」を読んで なるさわばしこに見えたもの
私がこの本に出会ったのは今年の3月下旬ごろ。趣味の読書会で、課題本になったことがきっかけで手に取りました。
当然のことながら、1回読んだくらいではこの深遠な世界観を理解することはできませんでしたが、それまで私がもがいて苦しんでいた海の姿を知ることができ、救われた気がしたのです。
「私はおかしいわけじゃなかったんだ。単に少数派なだけだったんだ」
なるさわばしこは、初任校で学級崩壊を経験しています。
講師としての経験年数は2年ですが、その間3校を経験し、パラダイムはレッド→アンバー→オレンジを通過しました。そしていま、グリーンへの展望が見えつつあります。
「ティール組織」は、私の視野を大きく開かせてくれました。
それは未来への展望。
読む前の私には、もう戻ることはできません。
そこはたったひとつの正解がなく
不断の思考を求められる
険しい道です。
しかし、より多くの子ども達を幸せにできる道だと信じています。
共に切り拓こう。
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