今後はスーパーマンしか採りません。
※本記事は、旧ブログ「なるさわばしこLABO」から修正を加えた上で転載したものです。採用試験の倍率についての記述は、平成30年度の採用試験の結果を引用しており、本年度の状況とは異なる可能性があります。タイトルにある「採用倍率」ですが、引用先ページの「受験倍率」と概ね同じ意味です。
はじめに 小学校教員の倍率低下問題
近年のネガティブキャンペーンの影響でしょうか。
教員の採用倍率が大変なことになっています。
教員採用試験の最新動向【合格倍率】によると、
全国的に採用試験試験の合格倍率が低下しているようです。
信じがたいことですが、東京の小学校では過去最低と言われる1.8倍を記録しました。
(平成30年度東京都公立学校教員採用候補者選考(31年度採用)の結果についてより)
低いなーーーーー!!!!!!!
神聖なる教職なのに!!!
ばしこの友達、「学科40点でも受かった」って言ってた!!
倍率が低いってことは、現場の人材の質が保てなくなるってこと!!
日本の未来を担う子ども達を育てる場所がこんなんで大丈夫!?
(こんなに低い倍率でも落ちた自分を棚にあげつつ)
子どもの前に立つ人間は、何かしらスーパーであってほしい。
たくさんの志望者の中から、たった一握りの、選ばれた人間であってほしい。
教員採用試験も、20倍くらいの、すっごい高い倍率で。「マジで!?教採受かったの!?すごいじゃん!!!!!」って大学で噂になるくらい。
「じゃあスーパーマンが応募したい!働きたい!って思える労働環境どんな?」
ガチで考えてみました。
教育界の偉い方、どうぞご検討ください。
金銭面
①手取り40万円
有能な人を採りたいなら、有能な人が貰ってるようなお給料を払えばいいのでは?
こんなに大変な仕事なのに初期設定手取り20万円は、専門性を馬鹿にしてるとしか思えません。(教育公務員は他の公務員より高く設定されているとはいえ)人は自分が扱われているように振る舞うものです。
手取りを2倍にしましょう。
また、従来は禁止とされていた副業も認めます。(一定の基準を満たす人のみ)有能な人は、教員以外に他の仕事をしてもいいのです。
ビジネスや社会貢献活動にリアルタイムで関わる大人の存在は、子どもの視野を大きく広げてくれることでしょう。
②分掌手当
若手小学校教員Aさん@wakate_kyouyu(※現在はアカウント名変更)アイデアです。
今まで、校務分掌は(勤続年数や適性をある程度考慮したものの)強制的に降ってくるもの、かつ人によってばらつきのあるものでした。勤続年数ベースで給与額が決まる都合上、勤務時間や大変さと給料が見合わない問題が生まれ、一部の教員のストレスに繋がっていたと考えられます。
こうした校務分掌を、分掌手当によって不平等なく割り振ります。
各校務分掌には、その軽重に合わせた額の分掌手当が設定されます。体育主任、給食主任など、責任が重く労働時間が長くなりがちな分掌はその分手当の額も高くなり、「稼ぎたい人が引き受ける」形になります。
逆に、子育て、親の介護等、仕事以外の面で忙しい人たちは、校務分掌を断ることができます。分掌手当を貰わない代わりに、自分の時間を確保することができるのです。
③資格手当
世の中には多種多様な資格がありますが、どれもある程度の勉強時間が求められるものです。
先生たるもの、あらゆる分野に造詣が深くあってほしいものです。
学ぶことにインセンティブをつけましょう。
(議論が分かれるとは思いますが)学習指導要領に関連した資格であれば、給与に上乗せして資格手当が貰えます。英語スキルやプログラミングスキルなど、現場の教員に有資格者が少なく、かつ需要が高い資格は資格手当の額も高くなるようにし、資格習得を促します。
優秀な「教え手」は、優秀な「学び手」でもあるものです。
④学び手当
上記の資格取得時もそうですし、
自主的に行くセミナーや勉強会の参加費用、
知識を深めるための文献の購入費……
申請すればある程度まで経費として処理されます。
お金の心配がない分、知的好奇心の赴くまま、思う存分学びが深められますね。
既に民間企業では、年間書籍費を支給しているところもあるようですし、教員の世界なら尚更、常に勉強し続けられる環境設定は重要でしょう。
待遇面
①定型業務が定時1時間前に終わる
業務の精選により、先生たちの事務作業はほとんど消失。
子どもの帰った放課後は、「自分の仕事」に充てていいことになっています。
時々職員会議や学年での打ち合わせが入りますが、連絡事項は予め、適宜社内ネットワークで手持ちのタブレットに送られてくるため、きわめて短い時間で共有を終えることができます。
自主的に残りたい先生は残ってもいいし、帰りたい先生は気後れすることなく、定時に退社しても全く問題ありません。
②部活動挙手制
部活動の顧問は無償ではありますが、挙手制です。顧問が集まらなければいくらやりたい生徒が集まっても開講しません。
専門性のない人が部活動維持のために嫌々身を捧げる、または生活の時間を犠牲にしてまで専門性を身に付ける(しかも無償で!)のはおかしいですからね。
休みの日の部活動は先生の希望した日程に合わせて決めます。先生の都合が悪ければやりません。
休暇等
備考:偉い人達がカリキュラムや時数をアレヤコレヤいい感じにしてくれた結果、子ども達は今ほどたくさん学校に通わなくて良くなりました。
①年間休日メッチャ多い
まとまった休暇は、心と体を休め、新たな活力を生み出します。
自分の生活を大切にできない先生に、子どもは大切にできません。
年度末は1か月(3月)
夏休みは2カ月(7・8月)
年末は2週間
まるまる休暇にします。途中の出勤日はありません。
まとめて海外旅行に行きたい人は行けばいいし、
セミナーや勉強会に出たい人は学びに行けばいいし、
学校で準備をしたい人はしていいのです。
使い方は自由です。
②新学期開始前の準備日割り当て
30人の子ども達と学級経営を始める上で、どう考えても現行の準備日数は足りていません。3~5日程度の準備で安心して子どもを迎えられるわけがありません。
1学期の前には2週間を、
2学期と3学期の前には1週間を、
準備日として割り当てます。
段取り八分と言われるように、学級びらきだって綿密な準備が必要なもの。ゆとりをもった時間設定をした上で、子どもの情報の共有、教室環境の設定、学習カリキュラムの準備……などなど、必要な準備を進めます。
③有休は平日も消化可能
学級担任は責任が重い仕事で、代わりがいない感覚が強いと思うのですが、
そもそも現場に人がいなさすぎです。
教師だって人間なのですから、急な病気や冠婚葬祭、色々事情はあるものですが、それに合わせた配置がなされていません。
倍率20倍を目指すのであれば、こうした基本的な休みは保証されるべき。
学年毎に1~2名の免許を持った副担任を配置し、有事の際、平日に休むことを可能にしましょう。
子どもをもつ先生が申し訳なさを感じることなく、子どもの授業参観に出られるようにしたいものです。
④産前サポート教員+産後サポート教員
現行でも産前サポート教員の仕組みは存在していますよね。
(産前サポート教員とは、はじめの数カ月は妊娠中の先生とタッグを組んで、その先生の出産を機にバトンタッチし、学級担任になる立場の教員のこと。)
でもよく考えたら、育休明けも大変じゃないですか?
お母さん先生の方にも数年のブランクがあって、また現場に慣れる必要がある上に、
保育園に預けたての子どもは、色々な病気をすぐに貰ってきちゃいます。
熱を出した子どもは預けられませんから、仕事を休んで家で看なければなりませんよね。
お母さん先生達が「また仕事に穴をあけてしまった……」と申し訳なさを感じ、両立の難しさから育児にマイナスの影響が出たらとても悲しいと思います。
産前だけじゃなく、産後もサポートする教員が必要ですよ。
復帰後少なくとも数カ月は人をつけて、ダブル担任制で学級を運営してもらいましょう。
環境面
①デザイン性豊かな職員室
鼠色一択の部屋で、果たしてクリエイティブな発想ができるのでしょうか。
専門の人を入れて、場のスペースの構成や動線をガチで設計しましょう。
いい感じのオフィスによって、先生たちのやる気はモリモリ上がります。
②作業スペースと談話スペースが分離している
一般的な職員室は、作業も談話も同じ場所。
用途が分けられていません。
集中して仕事をしたいのに、いい感じに乗ってきたタイミングに限って
「ねえ先生!あの件なんだけど・・・・・」
途中で邪魔が入ることもしばしば。あー!!
意識ではなく構造上の問題だと思うので、スパっと場所を分けちゃいましょう。
集中して作業をしたい先生は作業スペース(従来の職員机のこと)
人と語らいたい先生は談話スペースに。
場所と用途をきちんと分けましょう。
作業スペースにいる間は、急用でない限り話しかけてはいけません。
連絡事項がある場合は、本人のタブレットに送ります。後でキリがついた時に処理してくれるでしょう。
③最新式ドリンクサーバー・スナックコーナー
希望者は給料から天引きする形で会費を払い、最新式のドリンクサーバーとスナックコーナーが自由に使い放題です。
軽食も出るので、望めば朝食も夕食もここで済ますことができます。
コーヒーは最高品質の豆を、世界各国から取り寄せています。
スナックは食塩油不使用のナッツやフルーツ、健康に良いものが中心ですが、ジャンクフードも充実していて、揚げたてのポテトは注文すればいつでも食べられます。
談話スペースで先生たちが語らう中で、素晴らしいアイデアを閃くかもしれません。
④良質な教育書コーナー
教科指導、行事設計、子ども対応、様々なお悩みに即座対応できるよう、教育書を揃えています。
先生達のおススメ本を置くスペースもあり、「あの本面白かったですよー!」と、本を介して学年や年齢を飛び越えた交流が期待できます。
リクエストには早急に対応する仕組みで、Amazonプライム対応の本なら、頼めば翌日にはもう本棚に並んでいます。
おわりに……最強の福利厚生は「子ども」
「予算の問題はどうするんだ!ムキー!!」というお怒りの声が聞こえてきそうですね。教育ファンタジーということでここはひとつ。
色々言いたい放題、好き勝手に書きましたが、
つまるところ
一番先生たちが喜ぶのは
子どもと向き合う時間が増えること
だと思うのです。
テストの丸付けをするために先生になった人はいません。
集金したお金を数えるために先生になった人はいません。
先生の仕事は、本来とっても素晴らしいものです。
人の成長の瞬間を、間近で見ることができます。
毎日、心を揺さぶる感動にめぐり合えます。
生涯の付き合いになるかもしれない、かけがえのない存在がたくさんできます。
先生に、きちんと先生としての仕事をさせてあげる。
最強の福利厚生は「子ども」なのです。
案外そんなシンプルな方法で、採用倍率は増えていくのかもしれませんね。